【電験2種重要例題解説：電力・管理】水車のキャビテーションによる影響と防止対策

問題
解答のポイント
解答

問題

水車のキャビテーションとその対策に関して、次の問に答えよ。

(1)　キャビテーションの発生メカニズムとその影響について簡潔に説明せよ。

(2)　キャビテーションの発生を抑制する対策を3つ挙げよ。

解答のポイント

① キャビテーションの発生メカニズム

② キャビテーションによる影響
1) 流水に接するランナやバケットなどの金属部分に壊食 (浸食) を生じ、キャビテーション壊食が進行する。
2) 水車の効率、出力、揚程の低下、水量の減少などが起こる。
3) 吸出し管入口における水圧の変動が著しくなる。
4) 水車が振動を起こしたり騒音を発生する。

③ キャビテーションの対策
1) 水車の比速度が大きいほど発生しやすいため、回転速度の選定あたっては、水車およびポンプ水車の比速度を過大にしない。
2) 吸出し管の吸出し高さをあまり高くしない。
3) ランナなどのキャビテーションの発生しやすい部分に浸食に強い材料を使用する。
4) ランナやバケット表面を水流ができるだけ平滑になるような形状にする。
5) 過度の部分負荷、または過負荷運転を避ける。
6) 吸出し管上部に適当な量の空気を入れる。

解答

(1)　キャビテーションの発生メカニズムとその影響
水車の流水中の絶対圧力が飽和蒸気圧以下になると、その部分にキャビテーションが発生する。
キャビテーションが発生すると、①効率、出力、水流の減少、②キャビテーション発生場所に壊食が起こる、③吸出し管入口の水圧変動が著しくなる、といった現象が発生する。

(2)　キャビテーションの発生を抑制する対策3つ
キャビテーションの発生を抑制する対策としては、
① 水車の比速度を一定値以下とする
② ランナベーンの形状を整え、表面を滑らかにする
③ 過度の部分負荷運転や過負荷運転をさける
などがある。