問題
図に示す流況曲線の河川において、最大使用流量 90 [m3/s] , 有効落差 40 [m] の自流式水力発電所がある場合について、以下の各値を求めよ。
ただし、総合効率は、流量を \(Q\) として、総合効率 \(η = 0.004Q + 0.49\) により算出されるものとする。
(1) 発電所の最大出力 [kW]
(2) \(T\) [日] (\(90 ≦ T ≦ 365\)) のときの出力 \(P_T\) [kW] (\(T\) を用いる)
(3) 年間の発生電力量 [GW・h]
(4) 年間の発電所の利用率 [%]

解答のポイント
① 流況曲線
流況曲線とは、横軸に日数、縦軸に河川流量を取り、1年 (365日) のうちから流量の大きな日の順に左から並べ、それらの点を結んだ曲線です。河川により曲線の形状は異なります。
② 発電所の年間利用率
発電所の年間利用率 [%] とは、発電所が1年間最大出力で発電し続けた場合の、発生電力量に対する実際の年間発生電力量の比率です。最大電力に対する年平均発電電力の比率でも求めることができます。
年間利用率 [%] を求めるために、発電所の最大出力 [kW] および年間発生電力量 [kW・h] を求めます。
③ 理論水力及び水車・発電機出力

理論水力 \(P_o = 9.8QH\) [kW]
水車出力 \(P_w = 9.8QHη_w\) [kW]
発電機出力 \(P_g = 9.8QHη_wη_g\) [kW]
解答
(1) 最大出力 \(P_m\) [kW]

\(P_m = 9.8Q_mHη_m\) であり、\(Q_m = 90\) [m3/s] のとき、
\(η_m = 0.004Q_m +0.49\)
\(= 0.004 × 90 + 0.49\)
\(= 0.85\)
であるから、
\(P_m = 9.8Q_mHη_m\)
\(= 9.8 × 90 × 40 × 0.85\)
\(= 29988\) → \(30000\) [kW]
(2) \(T\) [日] (\(90 ≦ T ≦ 365\)) のときの出力 \(P_T\) [kW]

\(P_T = 9.8Q_THη_T\)
\(= 9.8 × (108 − 0.2T) × 40 × (0.004Q_T +0.49)\)
\(= 392 × (108 − 0.2T) × \{0.004(108 − 0.2T) +0.49\}\)
\(= 392 × (108 − 0.2T) × (0.922 − 0.0008T)\)
\(= 392 × (99.576 − 0.2708T + 0.00016T^2)\)
\(\unicode{x2252} 39034 − 106.15T + 0.06272T^2\)
→ \(39000 − 106T + 0.0627T^2\)
(3) 年間の発生電力量 \(W\) [kW・h]

\(W = 24P_m × 90 + \displaystyle\int_{90}^{365} 24P_TdT\)
\(= 24 × 29988 × 90 + 24\displaystyle\int_{90}^{365} (39034 − 106.15T + 0.06272T^2)dT\)
\(\unicode{x2252} 64774000 + 24 × \left[39034T − 53.075T^2 +0.020907T^3\right]_{90}^{365}\)
\(\unicode{x2252} 64774000 + 24\)
\(× (14247000 − 7070900 + 1016600 − 3513100 + 429910 − 15241)\)
\(\unicode{x2252} 187040000\) [kW・h]
→ \(187\) [GW・h]
(4) 年間の発電所の利用率 [%]

利用率 \(= \displaystyle\frac{W}{P_m × 24 × 365} × 100\)
\(= \displaystyle\frac{187040000}{29988 × 24 × 365} × 100\)
\(\unicode{x2252} 71.2\) [%]


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