問題
汽力発電設備の復水・給水系統に設置されている各設備に関して,次の問に答えよ。
(1) 復水装置(復水器と復水器真空ポンプ)について,その役割と仕組みを150 字程度以内で述べよ。
(2) 脱気器について,その役割と仕組みを100 字程度以内で述べよ。
解答のポイント
① 復水器の構造と役割
復水器は,低圧タービンからの排気蒸気を凝縮、復水させるものです。一般には,復水器冷却管内に冷却水を通し,タービン排気が冷却管外面に触れて凝縮し,復水する表面復水器が採用されています。
復水器は,胴,冷却管,両端で冷却管を保持する管板,冷却水を出入りさせる水室などから構成されています。冷却管には,一般にアルミニウム黄銅管が,大形で超臨界圧の一部の装置では,冷却水漏れ防止の観点から,耐食性の優れたチタン管が採用されています。
復水器内部の真空度を高めることで,タービンの熱落差を大きくとることができるため,サイクル熱効率を向上させることができます。
復水器の構造
電験王より引用
② 復水器の補機
1) 冷却水循環ポンプ
冷却水循環ポンプは,復水器に冷却水を供給する循環ポンプであり,海から取水路を経てポンプ吸水槽に流入した海水を,入口側循環水管を通して復水器に送ります。一方,復水器を出た熱交換後の海水は,出口側循環水管を経て再び海に放出されます。
2) 復水ポンプ
復水ポンプは,復水器の復水だまりから復水をくみ出し,給水加熱器に送水するポンプであり,その形式,構造などは吸込側の高真空度の保持などによって決定されます。
3) 空気抽出装置
空気抽出装置は,復水器の性能を維持するために,蒸気に混合して流入してくる非凝縮性ガスを連続的に排出するための装置であり,空気抽出器と真空ポンプから構成されています。わが国で使用されている真空ポンプは,水封式真空ポンプと空気エゼクタを組み合せたものであり,復水器の真空上昇および真空維持に使用されます。
空気抽出装置
火プラ.comより引用
③ 脱気器の構造と役割
火力プラントでは,ボイラ管などの腐食抑制の観点から,給水中に溶存する酸素あるいは炭酸ガスなどの非凝縮性ガスを除去する必要があります。このため,給水中の酸素などの溶存ガスを分離除去する目的で,脱気器が設置されています。
脱気器の溶存ガスの除去方法は,給水を噴霧して除去するスプレー式と,給水をトレイに流して除去するトレイ式,およびこれらを併用したスプレートレイ式があります。大形脱気器には,一般的には横置きスプレートレイ式が採用されています。
脱気器は,上部の脱気室と下部の脱気タンクから構成されています。脱気室は,溶存ガスを除去する部位であり,給水の噴霧ノズル、トレイなどから構成されています。一方,脱気タンクは,脱気室で脱気された給水を貯水するタンクであり,負荷変動に対応するための貯水タンクの機能も併せもっています。
脱気器
火プラ.comより引用
解答 (試験センター解答例)
(1) 復水装置(復水器と復水器真空ポンプ)の役割と仕組み
役割は,蒸気タービンで仕事をした蒸気を水に戻して再び復水として利用すること,及び発電設備の熱効率を向上させることである。仕組みは,蒸気タービンの排気室に直結した復水器で,蒸気を海水などの冷却水と間接接触させて凝縮させる。また,残留する不凝縮性のガスは,復水器真空ポンプで系外に排出する。
(2) 脱気器の役割と仕組み
役割は,ボイラや付属設備の腐食を未然に防ぐことである。仕組みは,タービンの抽気などの蒸気を給水に直接接触させ,給水を飽和温度まで加熱し,給水中の溶存酸素などを分離させて大気中に放出する。


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