問題
2台の単相変圧器A、Bがある。変圧器Aの二次側換算の百分率リアクタンスが \(4\)% (\(10\) MV・A 基準)、変圧器Bの二次側換算の百分率リアクタンスが \(12\)% (\(20\) MV・A 基準) である。二次側に \(200\) kW で遅れ力率 \(0.8\) の負荷を接続したときの変圧器Aが分担する負荷の大きさ [kV・A] を求めよ。
解答のポイント
パーセントインピーダンスの基準容量換算

三相交流回路のパーセントインピーダンスの重要公式より、
\(\%Z = \displaystyle\frac{P_nZ}{{V_n}^2} × 100\) [%]
⇓ \(\%Z\) は \(P_n\) に比例
\(\%{Z_A}’ = \displaystyle\frac{P_B}{P_A}\%Z_A\) [%]
つまり、基準容量を \(P_{BASE}\)、自己容量を \(P_{OWN}\)、基準容量換算前のパーセントインピーダンスを \(\%Z\) とすれば、基準容量換算後のパーセントインピーダンス \(\%Z’\) は以下のように表される。
\(\%Z’ = \displaystyle\frac{P_{BASE}}{P_{OWN}}\%Z\) [%]
※ パーセントインピーダンスの基準容量を変換する際は、有効電力 [W] (もしくは負荷容量 [W]) ではなく、変圧器容量 [V・A] を使用することに注意。
変圧器の負荷分担

分流の法則より、
\(I_A = \displaystyle\frac{\%Z_B}{\%Z_A + \%Z_B}I\)
\(I_B = \displaystyle\frac{\%Z_A}{\%Z_A + \%Z_B}I\)

両辺に定格電圧 \(V_n\) を掛けると、
\(V_nI_A = \displaystyle\frac{\%Z_B}{\%Z_A + \%Z_B}V_nI\)
\(P_A = \displaystyle\frac{\%Z_B}{\%Z_A + \%Z_B}P\)
同様に、
\(P_B = \displaystyle\frac{\%Z_B}{\%Z_A + \%Z_B}P\)
変圧器の並行運転の条件
① 極性が一致
② 巻数比が等しい
③ 短絡インピーダンスが等しい
④ 抵抗とリアクタンスの比が等しい
⑤ 三相変圧器の場合、相回転及び角変位が一致
解答

負荷の皮相電力 \(S\) [kV・A] は、
\(P = S\cos θ\)
\(S = \displaystyle\frac{P}{\cos θ}\)
\(= \displaystyle\frac{200}{0.8}\)
\(= 250\) [kV・A]

\(\%Z_A\) を \(P_B = 20\) [MV・A] 換算すると、
\(\%{Z_A}’ = \displaystyle\frac{P_B}{P_A}\%Z_A\)
\(= \displaystyle\frac{20}{10} × 4\)
\(= 8\) [%]

よって、変圧器Aの負荷分担 \(S_A\) [kV・A] は、
\(S_A = \displaystyle\frac{\%Z_B}{\%{Z_A}’ + \%Z_B}S\)
\(= \displaystyle\frac{12}{8 + 12} × 250\)
\(= 150\) [kV・A]


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