【電験二種過去問解説:電力<R2 問2>】架空送電線路の雷害対策

電験

問題

架空送電線路の雷害対策として、送電線への (1) を防止するために (2) 線を設置することが有効である。(2) 線や鉄塔に雷撃が生じると、雷撃電流は鉄塔を通して大地に流れる。これによって鉄塔の電位が上昇し、がいし連の絶縁耐力を超えると鉄塔から電力線に (3) が発生する。これを防止するためには、塔脚の (4) を小さくする必要があり、棒状の接地電極を埋め込むが土壌の性質によっては (5) を設けたりする。

解答のポイント

雷害の種類

① 直撃雷

 直撃雷とは、電線に直接雷が落ちることをいいます。直撃雷が発生すると、数百万ボルト以上の過電圧が電線に加わり、がいしや鉄塔がフラッシオーバします。(機器での絶縁は不可)

② 誘導雷

 電荷を蓄えた雷雲が電線の上空に来ると、静電誘導により電線に雷雲と逆極性の電荷が蓄えられます。この状態で雷雲が落雷等で放電すると、雷雲に蓄えられていた電荷がなくなるため、電線に蓄えられた電荷は拘束を解かれ、電線中を左右に分かれて進行していきます。この現象を誘導雷といいます。
 誘導雷は落雷地点周辺の電線に発生するため、雷害のなかで最も発生頻度が高いです。

③ 逆フラッシオーバ

 鉄塔または架空地線に落雷すると、鉄塔の電位が送電線の電位よりも非常に高くなります。このとき、がいしの絶縁耐力を超え鉄塔から送電線へ放電が発生し、雷電流が電線へと流れます。この現象を逆フラッシオーバといいます。

送電線路における雷害の対策

① 架空地線の設置

 架空地線とは、鉄塔の最上部に張られる接地線です。架空地線を鉄塔の最上部に張り、雷を送電線ではなく架空地線に落ちるように配置することで、送電線を直撃雷から守ることができます。また、設置する架空地線の弛度を電線の弛度より小さくすると、2つの線の離隔を取ることができ、架空地線から電線への逆フラッシオーバの発生を防止することもできます。
 架空地線から真下に下した鉛直線と、架空地線と電線とを結ぶ直線とのなす角を遮へい角といいます。遮へい角が小さいほど直撃雷を防止する効果が高くなるため、例えば架空地線を多条化し、送電線より外側に張り出すような構成とすることも効果的です。

② 埋設地線の設置

 埋設地線とは、鉄塔と大地をつなぐ設置線です。
 埋設地線を設置すると、鉄塔の設置抵抗が減少するので、直撃雷により発生する雷電流が大地へと流れていき、逆フラッシオーバの発生を防止できます。

③ 不平衡絶縁の採用

 不平衡絶縁とは、2回線送電線路において、両回線の絶縁強度に差を設けることをいいます。両回線の絶縁強度に差を設けることにより、逆フラッシオーバによる雷電流が絶縁強度を低くしている回線にのみ流れるので、停電事故が2回線同時に発生することを防止できます。

④ 送電用避雷装置の採用

 送電用避雷装置は、ある一定の電圧サージが装置の両端に印加すると導通し、サージが通過すると続流を制限する装置です。これにより、電圧サージの波及を防止することができます。また、送電用避雷装置はがいしと並列して設置します。(日本では直列ギャップ付きが一般的)

解答

架空送電線路の雷害対策として、送電線への (1) 直撃雷 を防止するために (2) 架空地線を設置することが有効である。(2) 架空地線や鉄塔に雷撃が生じると、雷撃電流は鉄塔を通して大地に流れる。これによって鉄塔の電位が上昇し、がいし連の絶縁耐力を超えると鉄塔から電力線に (3) 逆フラッシオーバが発生する。これを防止するためには、塔脚の (4) 接地抵抗を小さくする必要があり、棒状の接地電極を埋め込むが土壌の性質によっては (5) 埋設地線を設けたりする。

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