【電験一種過去問解説:電力・管理<H24 問5>】直流送電

電験

問題

わが国の一般電気事業者 (※現在の一般送配電事業者) (沖縄電力株式会社を除く) の電力系統は、互いに連系して広域運営が行われている。この系統連系の中には、直流を介する連系 (直流連系) が存在する。次の問に答えよ。

(1) 直流連系の一般的な長所を四つ、短所を三つ挙げよ。

(2) 系統周波数が同じ電力系統間の連系であるにもかかわらず、直流を介した連系が三つ存在する。そのうちの一つについて、連系箇所を挙げ、直流連系を採用するに至った最も大きな技術的理由を一つ述べよ。

解答のポイント

直流連系箇所

【長距離送電に有利な方式の為採用】
① 北海道-本州直流連系
  北海道-本州 間 全長167km
② 紀伊水道直流連系
  本州-四国 間 全長100km

【電力三社間に跨る潮流制御が困難の為採用】
③ 南福光連系所 (※)
  北陸-中部 間 全長0km
※ 2026年廃止予定

直流送電の長所および短所

【直流送電の長所】

無効電力がないので…
1. 電圧降下、電力損失が少ない
2. 充電電流による影響がない
3. 同期安定度の問題がない
4. 短絡容量 (≒ 短絡電流) を増大させず連系可能

5. 絶縁強度を低減できる (交流に比べ電圧最大値が \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\))
6. 異周波連携が可能 (交直変換により)
7. 送電線路の建設費が安価 (導体2条の為)

【直流送電の短所】

交直変換設備があるので…
1. 受電側に無効電力供給設備が必要
2. 高調波の対策 (フィルタ) が必要

3. 電流零点がないので、遮断が困難

解答

(1) 直流連系の一般的な長所を四つ、短所を三つ挙げよ。

【長所】
1. 電圧降下、電力損失が少ない
2. 充電電流による影響がない
3. 同期安定度の問題がない
4. 短絡容量 (≒ 短絡電流) を増大させず連系可能
5. 絶縁強度を低減できる (交流に比べ電圧最大値が \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\))
6. 異周波連携が可能 (交直変換により)
7. 送電線路の建設費が安価 (導体2条の為)

【短所】
1. 受電側に無効電力供給設備が必要
2. 高調波の対策 (フィルタ) が必要
3. 電流零点がないので、遮断が困難

(2) 直流連系箇所一つの名称と最も大きな技術的理由

① 北海道-本州直流連系
  海底ケーブルによる海峡横断送電であるため、交流連系での無効電力発生を回避できる為。

② 紀伊水道直流連系
  海底ケーブルによる海峡横断送電であるため、交流連系での無効電力発生を回避できる為。

③ 南福光連系所
  電力三社間に跨る潮流制御が困難な為。

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