問題
次の送電線の振動について、その概要を述べよ。
(1) 微風振動
(2) コロナ振動
(3) ギャロッピング
(4) サブスパン振動
解答のポイント
微風振動

電線に直角の風 数 m/s
⇓
電線背後にカルマン渦
⇓
電線が上下に振動
軽くて、長くて、張力が大の時発生しやすい
サブスパン振動

電線に10 m/s 越えの風
⇓
電線背後にカルマン渦
⇓
電線の固有振動数と一致し電線が上下に振動
ギャロッピング

吹雪により翼状に着雪
⇓
電線背後にカルマン渦
⇓
電線の固有振動数と一致し電線が上下に振動
スリートジャンプ

送電線に着雪
⇓
氷雪が落下
⇓
落下の反動で電線が跳ねあがる
コロナ振動

降雨でかつ無風状態の時電線の水滴が滴下
⇓
コロナ放電により電線に反発力がかかる
⇓
電線に低周波の振動
解答
(1) 微風振動
毎秒数メートルの微風が、電線と直角に当たると電線の背後にカルマン渦ができて電線に鉛直方向の周期的な力が働き、これが電線の固有振動数と一致すると発生する。
全振幅は3 cm 程度以下と小さいが、電線が長い間繰り返し応力を受けて電線を構成する素線が切れたり断線のおそれが生じる。
微風振動は径間が長い場合や、直径が大きい割に重量の軽い電線の場合、電線の張力が大きい場合に発生しやすい。
(2) コロナ振動
雨で電線の下面に水滴が付き、しずくが落ちる状態では、コロナ放電が最も激しくなる。電線から帯電した水の粒子が射出するため、その反作用で電線の振動を誘発する。
コロナ振動は無風の場合に発生しやすい。
(3) ギャロッピング
電線に氷雪が付着して強風が当たると、氷雪の付き方が非対称であるため揚力が発生し、自励振動を生じて電線が上下に大きく振動する現象。
スペーサのために電線が回転できない多導体方式の方が発生しやすい。
(4) サブスパン振動
多導体に特有の振動で、風上にある素導体によって乱された気流により風下の素導体が振動を起こす。素導体の間隔を数十メートル毎に保持している金具 (スペーサ) を支点とした振動。


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