問題
地中配電系統の特徴について、次の問に答えよ。
(1) 架空配電系統と比較したとき、地中配電系統のメリットとデメリットをそれぞれ二つずつ述べよ。
(2) 地中配電系統の供給方式のうち本線予備線方式 (常用予備切替方式ともいう) とスポットネットワーク方式について、常時供給している配電線路内に事故が生じた際の需要設備側の応動 (操作または自動切換え、保護装置) を含め、それぞれ概要を述べよ。
解答のポイント
地中電線路の長所と短所
【長所】
① 景観が維持
② 感電の心配なし
③ 信頼度高 (天候や接触)
④ 通信線への誘導障害が少ない
【短所】
① 建設費が高い
② 故障箇所発見が困難
③ 送電容量が少ない (放熱性が悪い)
④ フェランチ効果発生 (静電容量が大きい)
フェランチ効果
受電端電圧 > 送電端電圧になる現象

\(\dot{V_s}\):送電端電圧 \(\dot{V_r}\):受電端電圧
発生原因 → 進み電流 (上のベクトル図で赤:進み電流時、青:遅れ電流時)
夜間、休日、亘長が長い、静電容量が大きい
ケーブルの付設方式

配電方式
樹枝状 (放射状) 方式

【長所】
構成が簡単
増設が容易
【短所】
事故時の停電範囲大
電力損失、電圧変動大
ループ方式

【長所】
信頼度が高い
【短所】
建設費が高い
常用予備切替方式

【長所】
事故時に予備線に切替可
簡単な設備構造
【短所】
切替時に一定時間の停電
スポットネットワーク方式

【長所】
信頼度が高い
電圧変動率が小さい
負荷増設が容易
【短所】
回路や保護装置が複雑
ネットワーク母線に高い信頼度が要求される
レギュラーネットワーク方式

【長所】
信頼度が高い
変圧器一次側に遮断器が不要
【短所】
建設費が高い
解答
(1) 架空配電系統と比較したとき、地中配電系統のメリットとデメリットをそれぞれ二つずつ
メリット
- 電柱のように地表部に設置する設備が少ないため、街路の景観を損ねることが少なく、交通障害を招かないほか、火災時の消火活動も行いやすい。
- 雷や氷雪、台風、地震など、自然災害による被害が少なくなる。
デメリット
- 架空配電系統に比べ、掘削費や設備費が高く、約10倍の建設費がかかる。
- マンホールへの入孔など保守点検が難しく、いったん事故が発生すると復旧時間が長くなる。
(2) 地中配電系統の供給方式のうち本線予備線方式 (常用予備切替方式ともいう) とスポットネットワーク方式について、常時供給している配電線路内に事故が生じた際の需要設備側の応動 (操作または自動切換え、保護装置) を含めたそれぞれの概要
① 本線予備線方式
常時供給している配電線路内で事故が生じると、需要家側はいったん停電する。しかし、予備線に切り替えることによって復旧し、復旧後は負荷抑制する必要がない。また、事故時の停電に伴い受電用遮断器の開放および投入が自動的に行われる場合、特に運転管理が容易である。
② スポットネットワーク方式
スポットネットワーク方式は、一般的に3回線で構成されているものがほとんどである。この方式では、配電線路の1回線事故または受電用変圧器の1バンク事故の場合でも停電が回避でき、事故時にはネットワーク継電器が動作してプロテクタ遮断器により自動的に事故回線を切り離し、残りの健全回線で負荷に供給できる。このため、需要家側での操作は特にない。
また、ネットワーク変圧器は、8時間130%の過負荷耐量であることにより、短時間の1バンク停電であれば特に問題は発生しない。


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